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​日本語教育ー異論反論オブジェクションー|特別フォーラム|第13回

日時 :2021年4月17日

講師 :蟻末 淳

会場 :オンライン(ZOOM)

対象者:日本語教師

参加費:無料

企画 :アルン・シャム

​申込者:99名(20カ国)

内容

コロナ禍で、日本語教育はオンライン化を余儀なくされ、教師の授業の仕方にも大きな変化が生まれました。その中で、「オンライン化」を早々と進め、様々なツールを使いこなし、「対面」から「オンライン」への変化を歓迎する教師と、「対面」こそが「教育」の本質であり「オンライン」はあくまでも代替と考える教師との、根本的な考えの違いが炙り出されました。また、これからは、一度オンライン化した教育を今後どうしていくのか、以前の「対面」の教育にただ戻せばいいのか、そもそも戻れるのか、など、様々な問題が再燃すると思われます。「対面」に戻るにしても、オンラインの教育を続けるにしても、私たちはみな、自らの教育観と向き合い、今後の教育の理想と方向性を考えながら、進まなければいけない状況にあります。そこで、本セミナーでは、様々な立場の日本語教師による架空の論争を取り上げ、複眼的な視点を持ちつつ、主張を支える前提となる視点や立場を客観的に把握し、自らの立ち位置と考えを自省できるようなケーススタディー的なワークショップを行います。

参加者からの声

Nasukawa Noriko, Nihongo Center, India

今回のセミナーは、趣向が変わっていて、新しい知識や実践を追い求めるのではなく、今まで自分の中で培ってきたものを見直す機会を与えてもらう、いわば「振り返り」から、次へつなげていく「橋渡し」的なものであると感じました。

 

コロナ禍から急速に変わりつつある日本語教育の中で、先生方が頭をひねりながら、日夜努力されている姿がうかがえるディスカッションでした。対面授業とオンライン授業、同期と非同期の組み合わせ、1クラスの人数による違いなど、奥深い内容の話し合いが行われ、皆さんがご自分の経験を振り返りながら活発に話し合い、大変意義深かったと思います。

 

今日の話し合いで、「どの国」で「どんな機関」で「誰に」「何人に」オンラインで教えるのか、という基本的なバックグラウンドも、オンライン授業を考える上で欠かせないポイントになってくると強く感じました。日本で教えるのか、海外(国によって違う)なのか、大学で教えるのか、民間日本語学校で教えるのか、高度人材に教えるのか、技能実習生に教えるのか、1クラス5~6人のクラスなのか、15人なのか、25人なのか、40人なのかでも、オンライン授業の教授法や効果も大きく変わってきます。ですから、プレイクアウトルームでの話し合いの際、まず参加者がお互いに基本情報を共有することをしてもよかったと反省しています。

 

昨年3月からの突然のデリーのロックダウンに伴うオンライン授業の開始で、蟻末先生とアルン先生には、オンライン授業の第一歩からご指導いただき、何とかオンラインクラスが出来るようになりましたが、まだまだ迷いや悩みが尽きません。私のような教師は数多くいらっしゃると思います。そのような中、本日のセミナーは、一石を投じてくれるものであったと思います。どうもありがとうございました。

Araslan Jilani, Haru Japanese Language Center, Pakistan

4月17日(土)に行われた「JLESA特別フォーラム・第13回・日本語教育 異論反論オブジェクション」に参加させて頂きました。オンライン授業には慣れてきましたが、JLESAのフォーラムで他の先生方から素晴らしいアイデアがたくさんいただき、また、新しい指導法もいくつか習うことができました。

最近オンラインで授業をすることが多くなってきたので、各国で直面している問題に対して最大限の努力を尽くしている先生方の話が聞けて、大変勉強になりました。ここ一年世界が大きく変わってきたので、日本語教師も、考え方を変なければならないということを改めて考えさせられました。

参加者の多くは、オンライン授業を肯定的にとらえていましたが、その反面、書道や茶道や活花など、かつて対面式で開いていた体験型授業のオンライン化に苦労している先生方もいました。

私が教えている学生の多くは、日本語能力試験を受験したいか、または、日本の会社と取引をしたくて日本語を勉強する人が多いです。常に授業はいかにもっと面白くできるか、どんな授業をすれば生徒たちが興味を持ってもらえるようになるかについて海外で教えている日本語教師とよくいろいろなアイディアや教材等を交換したりするようにしています。

個人的な意見ですが、対面授業に比べて、オンライン授業のメリットは、学生のグループ分けだと思います。例えば、私が受け持っている授業の学生は、それぞれの進捗具合と日本語能力に合わせて三つのグループ(初級―中級―上級)に分け、ZOOMのブレイクアウトルーム機能を使って、各グループにふさわしい授業をしています。学生はずっと同じグループにいるわけではなく、学習目的、学習意欲などをもとに、グループ分けも定期的に変えたりしています。勤め先の学校には、教師は二人しかいないので、対面授業だとなかなかできないことです。

JLESA特別フォーラムに初めての参加で、とても楽しかったです。次回の特別フォーラムにも参加したいと思っています。​

Akira Sunami, Freelance Japanese Language Teacher, Mexico

架空の教師達がオンライン教育について議論するというモデル文を読み、それぞれの教師の教育観を読み取り、さらに読み手が自身のどういう経験やビリーフから共感する/しないのかを考えるという活動が大変興味深かったです。

 

私が参加して良かったと感じたことは、何となく思っていることを他の参加者の方がわかりやすく言語化し、足りないところを補足してくださったことです。自身の現在地や方向性を知り、先へ進むためのヒントをたくさん得ることができました。特に若手・中堅の教師には良い成長機会となっていることでしょう。

ただ、このようなイベントの参加者の考え方は共通するものが多く、意見が対立するケースが見られませんでした。異論反論とは何に対してのものだったのか、もし今回論じられたことが異論であるとすると、日本語教育界の通論は相当ヤバいなと個人的に思いました。

 

日本語教育全体の発展成長を望むのであれば、変わらない/変わろうとしない教師に「どう変わってもらうか」まで考えなければならないのかもしれません。これだけ多くの素晴らしい日本語教育関係者がいることを知り、その革新の可能性を信じたくなりました。

 

このような会を開催しててくださり、誠にありがとうございました。

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